泌尿器がんについて
主な泌尿器がんについては以下のものがあります。
前立腺がん
前立腺がんは現在、男性で最も罹患率の高いがんです。早期のうちは特徴的な症状が見られず、50歳以上の方は1-2年に1回はPSA検診が勧められます。PSAが高値であれば前立腺生検を行い、確定診断につなげていきます。治療は早期がんであれば手術や放射線治療を行います。悪性度の低いがんや80歳以上の高齢者の場合は経過観察することもあります。進行癌では男性ホルモンを抑制する治療(飲み薬と注射)を行います。当院では診断、ホルモン治療だけでなく前立腺がん手術後の経過観察も行います。
日帰り前立腺生検を行います
当院は、前立腺がんなどが疑われる方を対象として、前立腺生検を行っています。
膀胱がん
膀胱がんは、膀胱粘膜にできた悪性腫瘍です。症状としては血尿や頻尿、排尿痛などが現れます。膀胱鏡検査で確定診断をつけます。膀胱がんの外科的治療には、膀胱鏡で腫瘍を観察しながら電気メスで切除する方法と、全身麻酔下に膀胱を摘出する方法の2つがあります。膀胱上皮内癌(CIS)にはBCG膀胱内注入療法を行います。膀胱癌は約半数が再発するため手術後も定期的な内視鏡検査による検診が重要です。転移を認める場合は最近では抗がん剤に引き続き行う免疫治療の複合治療が第一選択になります。
腎がん
腎がんは大きくなるまでほとんど無症状で経過するため、他の病気で行った検査(CTやエコーなど)で偶然発見されるケースがほとんどです。手術は腫瘍径が4cm以下であれば腫瘍のみを切除する腎部分切除術が、4cm以上であれば腎臓ごと摘除する根治的腎摘除術が行われます。現在は腎癌の手術のほとんどが腹腔鏡やロボットなどの鏡視下手術で行われます。転移を認める場合、最近では免疫療法を含む複合治療が第一選択となっています。当院では診断のみならず、術後の経過観察も行います(CT画像検査は他院に依頼します)。
腎盂尿管癌
腎盂とは尿を作っている腎臓の実質ではなく、その中の尿が貯留している場所をさします。つまり腎盂尿管がんは尿の通り道にできるがんになります。尿路のがんは多中心発生(複数のがんが同時に別々の場所に発生する)を起こしうることがわかっていますので、腎盂尿管がんの治療は腎と尿管を同時に切除する手術(腎尿管全摘除術)が標準術式です。現在は腹腔鏡で切除する手術が一般的です。転移を認める場合は最近では抗がん剤に引き続き行う免疫治療の複合治療が第一選択になります。
精巣がん
精巣が痛むことなく徐々に大きくなり発見されます。10代後半から30歳代に見られることが多く、早期の診断・手術を行うことができれば根治切除できます。また転移があっても70%以上は抗がん剤で根治が期待できるため、数か月にわたる治療になりますが希望をもって治療に臨むことが重要です。